- 2016.08.20
- 一般公開
相模原の障害者施設殺害事件が突き付けた安易に匿名報道に走るメディアの問題
『週刊ダイヤモンド』 2016年8月13・20日合併号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1145 どこまで皆で情報を共有できるか──。この点が民主主義の基本であり、比類なく大事な価値観である。 その上で、メディアは情報をどう扱うべきかという問題がある。特定の情報を公開するのか否かを含めて、情報の扱い方はその社会、あるいは国家の成熟度と知性の程を示す。...
『週刊ダイヤモンド』 2016年8月13・20日合併号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1145 どこまで皆で情報を共有できるか──。この点が民主主義の基本であり、比類なく大事な価値観である。 その上で、メディアは情報をどう扱うべきかという問題がある。特定の情報を公開するのか否かを含めて、情報の扱い方はその社会、あるいは国家の成熟度と知性の程を示す。...
『週刊新潮』 2016年8月11・18日合併号日本ルネッサンス 第716回梅雨が明けて本格的な暑さがやってきた。世の中は、参院議員選挙に続いて東京都知事選挙、9月には民進党の代表選挙が続く。アメリカでは民主党のヒラリー・クリントン氏と共和党のドナルド・トランプ氏が激しく競り合い、互いを非難し合う。 だが、最も気にかかるのは、日本の在り方である。折しも天皇陛下が今後の皇室の在り方について、直接、国民に語りかけられるという。私心を超えて日本の歴史と文明に基づくお言葉を発せられるものと期待しているが、譲位のご意向についてすでに多くの人々が論評し始めた。右も左も決して、お言葉を政治利用してはならないのであり、私は陛下のお言葉を待ちたいと思う。...
『週刊ダイヤモンド』 2016年8月6日号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1144 いま、中国にどう向き合うべきか。その要点は、中国はいまの国際社会には受け入れられない「異形の大国」であることを彼らに認識させることだ。 7月12日のオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所の裁定が中国の主張を全面的に否定した後、一貫して中国は強硬姿勢を強めている。7月25日の東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議の共同声明では南シナ海裁定については全く触れられなかった。日本や米国が出席しないASEAN諸国の会議に、中国が強い影響力を行使した結果である。カンボジアを抱き込んで、分断工作に成功したのである。...
『週刊新潮』 2016年8月4日号日本ルネッサンス 第715回南シナ海は誰のものか。国際社会の公共財である海の秩序を国際法で守るのか、強国が力に任せて支配するのか。 この問いの前で、南シナ海の殆ど全てを自国領だとする中国の主張が悉く否定され中国が完膚無きまでの敗北を喫したのが7月12日だった。...
『週刊ダイヤモンド』 2016年7月30日号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1143 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、7月19日、南シナ海問題で中国とは交渉しないと、マニラを訪れた米国議員団に語った。 南シナ海のほぼ全域が自国の領有だとする中国に対して、ドゥテルテ大統領はオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所がどのような裁定を下しても、話し合いで臨むと明言してきた。氏は、大統領選挙のキャンペーンで、「中国が貧しいフィリピンの鉄道建設に資金提供するなら、南シナ海問題について口を閉ざしてもよい」とまで語った人物だ。...
『週刊新潮』 2016年7月28日号日本ルネッサンス 第715回オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が下した南シナ海問題に関する裁定への中国の反発は常軌を逸している。公然と国際法を否定する中国の前で、法治を旨とする民主主義陣営が確固たる手を打てないとしたら、ハーグの仲裁裁判所も国際法も意味を失う。いま世界は国際法を守るのか破るのか、法治を徹底させ得るのか、暴力支配の原理を許してしまうのか、という分岐点に立っている。 フィリピンの訴えから3年半、裁定は7月12日に下った。骨子は、...
『週刊ダイヤモンド』 2016年7月23日号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1142国際法を守る陣営と、守らない陣営との対立が、際立つ形で浮上した。 2016年7月12日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、南シナ海における中国の主張や行動は国連海洋法条約に違反するとしてフィリピン政府が訴えた件に関して、中国が南シナ海に独自に設定した境界線「九段線」には法的根拠がないとの判断を示した。裁定は確定的で上訴は許されない。...
『週刊新潮』 2016年7月21日号日本ルネッサンス 第713回「少しずつですが、彼らの主張が解ってきました。結局、歴史問題は日本人が創り出しているのです」 東京基督教大学教授の西岡力氏は中韓両国が主導して5月末に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)に、慰安婦関連資料約2700件の世界記憶遺産登録の申請を行ったことについて、こう語った。明星大学教授の高橋史朗氏も深く懸念する。...
『週刊ダイヤモンド』 2016年7月16日号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1141中国の要人に戴秉国(たい・へいこく)という人物がいる。胡錦濤前政権の外交トップを務めた実力者である。彼の前では外務大臣の王毅氏など、小僧っ子のような存在である。 米国をはじめとする世界が戴氏をどれほど重視していたかは、ヒラリー・クリントン氏が2014年に出版した回顧録『Hard Choices(困難な選択)』からも見えてくる。...
『週刊新潮』 2016年7月14日号日本ルネッサンス 第712回参議院議員選挙が迫っている。民進党や共産党は公約として安保法制廃止を掲げているが、どう考えても理解できない。日本周辺の安全保障状況が厳しさを増す中で、民進党も共産党もどのようにして日本国民と国土を守るつもりなのか。 7月3日、中国は南シナ海のパラセル諸島海域で新たな強硬策を取ることを世界に宣言した。5日から11日までの1週間、軍事訓練を実施するとして各国に同海域への進入禁止を通告したのだ。...
『週刊ダイヤモンド』 2016年7月9日号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1140 日本を含む西側諸国は、自由と民主主義こそが大事であり、中国にはそれが欠けているとして、中国を批判してきた。だが、6月23日の英国の国民投票の結果を見て、中国は、西側の民主主義とはこんなものかと、自信を深めているだろう。 ロシアと中国は6月23日と25日、ウズベキスタンと中国の北京で立て続けに異例の首脳会談を行った。西側の混乱を分析し、それをどのように自分たちの勢力拡大につなげていくかを話し合った。発表された資料から、両国が宇宙における軍拡競争をも念頭に共同戦線の構えであることが読み取れる。...
『週刊新潮』 2016年7月7日号日本ルネッサンス 第711回6月23日、イギリスの命運を決する国民投票が行われ、欧州連合(EU)からの離脱を望む人々が約4%の差で残留派をおさえた。 オバマ大統領をはじめとする米国首脳はイギリス国民の決定を、「アラブの春」の民主化運動勃発に対するのと同様の驚きで受けとめたと、「ニューヨーク・タイムズ」(NYT)が28日の紙面で伝えたが、それ程予想外だったということだ。...
『週刊ダイヤモンド』 2016年7月2日号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1139初めて18~19歳の人たちも投票できる参議院議員選挙が始まった。私はどんな18歳だっただろうか。夢はたくさんあったが、世界や政治のことなど何も分かっていなかった。けれども、いま、18歳以上の人々は国の在り方を決める権利と責任を与えられた。そのことに正面から向き合ってほしい。 世界を見渡すと、若い世代の声が国の在り方を大きく変えた事例は少なくない。台湾のひまわり運動、香港の雨傘革命、18歳とは限らないが米国でもヨーロッパでも、若い人々が政治を大きく動かしている。...
『週刊新潮』 2016年6月30日号日本ルネッサンス 第710回民進党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの4党が参議院議員選挙で共闘する。政党とは各自、公約を掲げて選挙に臨むのが基本である。その視点から、私は自民党と公明党の選挙共闘への批判を繰り返し、表明してきた。 同じ意味で、32ある1人区の全てで統一候補を出す民進党や共産党などの野党協力には強い違和感を抱く。民進党議員の中にも、一部ではあるが、共産党との協力に強い抵抗感がある。だが、選挙を前にして、そうした反対論は掻き消されている。...
『週刊ダイヤモンド』 2016年6月25日号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1138中国が挑発的かつ活発に動いている。6月15日午前3時半ごろ、中国海軍の情報収集艦1隻が鹿児島県口永良部(くちのえらぶ)島西方のわが国領海に侵入した。中国海軍の軍艦による領海侵犯は12年ぶり、2度目である。 さらに同日午後、沖縄県の尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の公船3隻が侵入した。...
『週刊新潮』 2016年6月23日号日本ルネッサンス 第709回昨年5月及び12月の事件に続いて、イスラム国(IS)への忠誠を誓う犯人が6月12日、アメリカで3度目の殺戮を行った。 49人もの死者を出したフロリダ州オーランドの銃乱射事件の犯人はアメリカで生まれ育った中東移民2世だった。オバマ大統領は、犯人がISの発信に操られて米欧諸国を襲っているとの主張は「醜い嘘」だとして、今回の事件の背景勢力を「イスラム教過激派」ではなく「暴力的過激主義」と呼んだ。...
『週間ダイヤモンド』 2016年6月18日号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1137 米大統領選でヒラリー・クリントン氏が民主党候補に指名されることが確実になった。彼女はガラスの天井を打ち破れるか。 初の女性候補として、共和党のドナルド・トランプ氏と大統領の座を争う彼女への期待も大きいが、クリントン氏にはメール問題など不確定要素があり、結果は予測しにくい。現在、世論調査は微妙な差でクリントン氏有利を伝えており、私は日本の国益上、クリントン氏に勝ってほしいと考えている。...
『週刊新潮』 2016年6月16日号日本ルネッサンス 第708回6月6日、北京で米中戦略・経済対話が開かれた。両国の主要閣僚が勢揃いして、およそあらゆる問題を話し合うこの会議は2009年以降定例化したものだ。開幕式での演説で習近平国家主席が強調したのは、中国の大国意識を表わす「新型大国関係」だった。 米中が互いの「核心的利益」を認め合い、干渉し合わないことで衝突を避け「ウィンウィンの関係」を築こうというもので、中国側はここ数年の米中対話で必ずこの原則を持ち出してきた。習氏は今回も同じ主張を繰り返し、こう述べた。...
『週間ダイヤモンド』 2016年6月11日号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1136 5月27日、オバマ米大統領の広島訪問のテレビ中継に見入ってしまった。大統領が被爆者の森重昭さんを原爆慰霊碑の前で抱き寄せた姿には、誰しも感動したことだろう。原爆を投下した国とされた国、その2つの国の思いを背負った2人の人物が、71年後に思わず知らず、歩み寄り、抱き合った。 その瞬間に生まれた心の通い合いの意味を、私は決して否定するものではない。しかし、一瞬の間を置いてわれに返った。考え始めたといってよい。果たしてこれでよいのか、と。その思いはおのずとオバマ大統領の広島訪問の意味を、その直前に行われたスピーチと重ね合わせて考える作業につながった。...
『週刊新潮』 2016年6月9日号日本ルネッサンス 第707回11月のアメリカ大統領選挙で、ドナルド・トランプ氏対ヒラリー・クリントン氏の一騎打ちになった場合、支持率は45%対42%でトランプ氏が勝利し、両氏に加え、第3の政党「リバタリアン党」のゲーリー・ジョンソン元ニューメキシコ州知事が参戦する場合、3氏の支持率は各々42%、39%、10%で、これまたトランプ氏が勝利するという。これはFOXテレビの世論調査の結果で、5月18日、発表された。 トランプ氏がアメリカの大統領となるとき、世界はどのような展開を見せるのだろうか。...
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ロシアを従え、グローバルサウスを懐柔し、アメリカの向こうを張って、日本への攻勢を強める独裁国家。狙いを定めたターゲットはありとあらゆる手段で籠絡、法の不備を突いて深く静かに侵略を進め、露見したら黒を白と言い張る謀略の実態と大きく揺らぐ中国共産党の足元を確かな取材で看破し、「不都合な真実」を剔抉する。
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「日本を取り戻す」と叫んだ人。古事記の神々や英雄、その想いを継いだ吉田松陰、橋本左内、横井小楠、井上毅、伊藤博文、山縣有朋をはじめとする無数の人々。日本史を背負い、日本を守ったリーダーたちと安倍総理の魂と意思を、渾身の筆で読み解く。
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